英文シナリオのフォーマット ~全体構成~

英文シナリオの書き方について概要をまとめておこう。

(注:「柱」とか「ト書き」と聞いて何かわからない人は、 まず
シナリオの基礎技術 などでシナリオの基礎を勉強した上で読んでね。
英文だろうが日本語だろうが根本的なシナリオに関する考え方は一緒です)

提出シナリオの物理的構成は
フロントカバー、タイトルページ、シナリオ本文、バックカバー

三つ穴を開け、一番目と三番目の穴を Acco No.5 round-head brass fasteners の1と1/4"インチの長さのやつ(下記写真のようなもの)などでとめる。

こういうので留めておけば、もしプロデューサーがシナリオに興味を持った場合に、
簡単に外し、そのコピーを取って他のメンバーにも回しやすいためである。

タイトルページの書き方

こんなかんじ。タイトルは中央に寄せて、

GRAN TORINO

by

Nick Schenk

0000 Woodward
Ferndale, MI 43210

248-123-4567

xxx@hotmail.com

タイトルをクォーテーション「”」で囲うか、アンダーラインを引いてもよい。
共著の場合は名前を「&」で横に連ねて書く。
「&」でなく「and」を使うと、前者のライターが書いたものを後者がリライトしたという意味合いになってきて、
共著とは意味が異なってくるので注意。
右下の見えやすい位置に住所、電話番号、メールアドレスを書いておく。
シナリオをWriters GuildやCopyrightOfficeに登録した場合、その旨を左下のエリアに示す。

 

フォントについて
業界標準のCourierかCourier Newの12ポイントを使う。
これはいわゆるタイプライターフォント。
このフォントはカーニング(文字間隔を詰める)されないので、
均一な文字数(1文字0.1インチ)になり、これで書くと1ページあたり1分になる。

 

マージンについて
左マージンは(三つ穴パンチするため)1.5インチ(= 38.1 mm)
右マージンは0.5~1.25インチ(おすすめは1インチ = 25.4 mm)
上下マージンは各1インチ(1インチ = 25.4 mm)。
もしレターサイズでなく、A4紙を使う場合は、下マージンをさらに5/8インチ(= 15mm)加えた、
1 と 5/8 インチ(= 40.4 mm)にすべし。

台詞はCourierフォントで10スペース分(紙の左端から2.5インチ)あけて打ち、
長さは35文字(紙の左端から6インチ)以内
役者へのインストラクションは16スペース分(紙の左端から3.1インチ)あけて打つ、
長さは19文字(紙の左端から5インチ)
台詞の登場人物名は22スペース分(紙の左端から3.7インチ)あけて打つ
(ただしライターにより多少の差異はあり)

例:本文ページのレイアウト

6.

BACK IN WALT’S HOUSE

The doorbell rings and Walt opens the door. Standing there is TAO, a sixteen-year-old HMONG boy. Walt scowls.
TAO is slight, he has long hair, long lashes, but is very good-looking — like an Asian Johnny Depp.

<———-22——–>WALT
<—10—>Who the hell are you?

                      TAO
<——16——>(very quietly)
<——16——> <——-19——–> 
          I’m Tao, I live next door.

                      WALT
          What?! Speak up, boy, get the
          shit out of your mouth. What do
          you want?
<—10—> <————–35—————–>


 

本文の構成

本文は主に下記の3つで構成される。

Headline(柱)

Narrative Description(ト書き)
アクション、セッティングやキャラクターの視覚的イメージ、音を書く。

Dialogue(台詞)
登場人物の名前は大文字で書く
カッコでくくってどのように台詞をしゃべるかを説明してもよい。

例:本文のイメージ(内容は上記色と対応。実際には黒で書く)

EXT. WALT’S PORCH – MORNING

Walt watches with great satisfaction as Tao paints one of the neighboring houses.

(略)

                      WALT
          I don’t see why not.
                (GRINS)
          Tell him sometime after lunch.

 

ラインスペース行間について

1ページあたり54から55行
ページ番号は右上に記載
ただし最初のページには記載しない
最初のページはトップにタイトルを大文字でセンターにアンダーラインつきで書いてもよい

 

本文の開始と終了について

だいたい

FADE IN:

で始まり、マスターシーンの柱やト書きが続く。時折

BLACK SCREEN

で始まるのもある。この場合、

SUPER:FIVE YEARS LATER

とか黒い画面に表示する言葉が続く。

最後のページは右よせで、THE END またはFADE OUT. または FADE TO BLACK. と書く

 

本文の長さについて

100-120ページ。理想的にはコメディの場合は100-105ページ、ドラマは110ページ。

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英文シナリオのフォーマット ~柱の書き方~

以前 英文シナリオのフォーマット ~全体構成~ について説明したが、
英文シナリオにおける「柱」の書き方をもうすこし詳しく解説。

(注:「柱」とか「ト書き」と聞いて何かわからない人は、
シナリオの基礎技術 などでシナリオの基礎を勉強した上で読んでね。
英文だろうが日本語だろうが根本的なシナリオに関する考え方は一緒です)

柱は、カメラ位置、シーンの位置、時間帯、の順に大文字で書く。

例: EXT. WALT’S HOUSE – DAY

カメラの位置は室内(INTERIOR)か屋外(EXTERIOR)かによって EXT.  または INT.  と書く。
車の中、外も INT、EXT で表現する。中から外へ動いていく場合は

INT./EXT. CAR – DAY

という風に記す。
時間帯は DAY または NIGHT を書く。

時間帯は基本的にはDAYとNIGHT。MORNINGなど書いている場合もあるが基本的には
MORNINGはDAYでよく、鳥のさえずりなどシーンの内容として朝を表現する。
日本のシナリオは(夜)と(朝)で、昼は書かないので、このあたりも違いますね。
続くシーンで明らかな場合は省略してもよい(CONTINUOUSと書いてもいいが)
読み手に伝わればよい。

もう少し細かく言うと、柱には3種類ある。

  1. マスターシーンの見出し
  2. セカンダリーシーンの見出し
  3. 特殊見出し
    フラッシュバック、夢、モンタージュなど

同一の場所でありながら違うシーンを描く場合、日本では柱を分けるが、
セカンダリーシーンとして下記のように書ける。

INT JIMMY’S RESTAURANT – NIGHT

とした後で、同一レストラン内のバーコーナーを指すのに

AT THE BAR

と書いて、ト書きを書き、同じレストラン内の別の場所を指すのに

IN THE PRIVATE ROOM

などと書くことができる。
同一シーンの時間経過(日本でいうと「XXX」にあたるもの)は柱を分けずに下記のように書ける。

LATER

特別な意味を持って、カメラをフォーカスさせたい場合はセカンダリシーンとして

JIMMY

smiles at her.

と、大文字で書くことも可能。でも通常のシナリオは撮影シナリオ(Shootingシナリオ)とは別で
日本のシナリオと同様、カメラの動きなどはシナリオに記載しないので、ストーリー進行上、
特別に意味がない限り普通に書く。

一瞬だけ出てくるイメージはMONTAGEを使う

MONTAGE – TOM AND CATHY HAVE FUN TOGETHER
— They run along the beach. Cathy smiles at Tom.
— They gaze each other in the .

フラッシュバックは

FLASHBACK – BUILDING EXPLOSION

の後にフラッシュバックのト書きを書き

BACK TO PRESENT DAY

でもとのシーンに戻る。
もしくは、柱を別にたてて

EXT. IN FRONT OF THE BUILDING – NIGHT (FLASHBACK)

などとする。フラッシュバック、回想は初心者がやりがちだが、できるだけ使用は避ける。
夢は

DREAM – TOM IN THE AIRPLAIN

想像

TOM’S IMAGING – FLOWERXX

ともかける。

特別な注釈
時代設定が違うとか、夢の中とか、特殊な場面の場合は括弧書きか、ハイフンの後に書く。

INT. NORIKO’S ROOM – NIGHT (NOROKORO’S DREAM)

INT. NORIKO’S ROOM – NIGHT – NOROKORO’S DREAM

EXT. TOKYO BAY – DAY (1830)

などとする。

スランプからの脱出

このまますべてキャンセルにして逃げてしまおうかとさえ思っていた、
そんな週末のある日のことだった。

金曜や土曜の夜は家で映画を観ることが多いんだけど、
R2 が「STAR WARS」ではなく、「ブレードランナー」を観ようと言い始めた。

よく知らなかったし、「別にいいよぉ」くらいのノリで観始めたら・・・
映像がとっても綺麗で、独特の世界、不思議な空気感・・・

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