センタースピーカーの配置

前回、フロントスピーカー(L、R)の配置 について書きましたが、今回はセンタースピーカーについてまとめておきましょう。
センタースピーカーも基本的には、L、R スピーカーと同じ高さに配置します。
しかし、音響透過型のサウンドスクリーンでない場合、画面との位置関係の都合上、同じ高さにC(センター)スピーカーを
配置するのが難しい場合があります。
そういう場合はできるだけ、L、R スピーカーとの高さの差がなくなる位置を選びます。

TV のディスプレイなどを利用していて、画面がそんなに高くない位置にあり、画面の上に置いた方が、
L、R のスピーカーと高さが近くなるようであれば、画面の上に置く方法もあるし、
画面がある程度高い位置まである場合は画面の下の位置で
L、R、C(センター)、ともに高さをできるだけそろえるのがよいと考えられます。

ちなみにうちの場合は音響透過型スクリーンがなく、壁に直接映していて、結構高い位置まで画面があるため
センタースピーカーは画面の下に置いています。
つまり、低い位置でスピーカー同士の高さをそろえ、スピーカー位置は耳の高さでそろえています。

スピーカーを画面の中央よりやや上においているわけではないので、台詞の臨場感はそれほど望めませんが、
L、R と高さを揃えることで、音像の推移を滑らかにすることができます。

よくやりがちなのが、左右のスピーカーよりだいぶ低い位置にセンタースピーカーを置いちゃうパターンですが、
これだと、L、R のスピーカーとセンタースピーカーの高さの差が大きくなるため、
たとえば、右から左にジェット機が飛ぶような場合、 音像が滑らかに移動せず、右 → 下 → 左 となってしまい、
せっかくマルチチャンネルにしているのに、 これではいまいち体感としてよくありません。

そのため、左右スピーカーとセンターとの差はできるだけ小さくするのが理想です。
左右スピーカーとセンタースピーカーの高さの差は、視聴者から見て 7 度以内の高さの差であれば、
視聴者は音像の推移をスムーズに感じることができます。

すべてのスピーカーは、基本的には、視聴者の耳の高さに設置するのが理想的ですが、
視聴者と結んだ水平角度が 15 度以内であれば、それより高くても大丈夫です。
しかし、それ以上の高い位置から再生すると、ファントム音像がぼやけてしまうため、注意が必要です。

※参考ソース:
Recommendation ITU-R BS.775-2 Multichannel stereophonic sound system with and without accompanying picture
ドルビーデジタルチェックディスク エンコード デコード テクニック&プロフェッショナル サラウンド モニタリング アジャストメント

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フロントスピーカー(L、R)の配置

フロントスピーカーは、音楽だけを再生するのか、映画など映像と一緒に再生するのかによって
適切な配置方法が若干異なってきます。

音楽だけ再生の場合、ITU (International Telecommunication Union) が推奨している
BS. 775-2 の配置方法がよいとされています。

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日本語版がないのが残念ですが、BS. 775-2 の現時点での最新資料はこちらからダウンロードできます。
これは特に音楽系スタジオでは採用されることが多い配置方法です。

このように、オーディエンスから見て、L (左)、R (右)のスピーカーとリスナーを結んだ角度が
60 度になるように設置し、高さは基本的には座った時の耳の高さと同じ高さにします。
大体 1.2m くらいになると思いますが、低いソファーなどの場合はもう少し低くなるかもしれません。
センタースピーカーも同じ高さに配置します。

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(出展:Rec. ITU-R BS.775-2)

こうした配置を基本としますが、映像と音を一緒に再生する場合は
左右のスピーカーと視聴者を結んだ角度が 45 度になるように設置したほうが、映像と音との一体感がよりよくなります。
そのため、多くの映画館のベストポジションもメインの L、R のスピーカーと視聴者の角度が 45 度に設置してあったり、
音と映像を同時に扱うスタジオでもこの角度を 45 度にしてある場合が多いようです。

この配置角度を決める時、手元にでっかい分度器みたいなのを置いて、紐を使って図ると便利です。
ソファにガムテープで紐を止めて、画面に対して分度器を水平に置いて、スピーカーまで紐を引っ張る、というかんじです。
私の場合、適度な紐がなかったので、ケーブルを使っちゃってましたが。

映像と音を一緒に再生する場合でも、スピーカーの高さのルールは基本的には一緒ですが
画面の人物の口元は画面の中央よりやや上の位置になることが多いので、
その高さあたりにスピーカーを置くことができれば、台詞により臨場感があふれます。
これができるかどうかは、スクリーンの種類に依ると思います。

TV のディスプレイなどを利用していて、画面がそんなに高くない位置にあるような場合は
耳の高さかつ、画面の中央よりやや上の高さにスピーカーを配置することができるかもしれませんが、
映画館のように前に行くほど低く、段々になっている部屋ではない、普通の平面の部屋で
壁に映写しているような場合、画面の中央よりやや上というと、結構上になってしまうからです。

映画館のように、前に行くほど低くなるような、シアター環境でない限り、
大画面かつ画面の中央よりやや上にスピーカーを置くというのは難しいのではないかと思います。
映画館のレイアウトは、単に頭が邪魔にならないよう、見やすくするためだけに前が低くなっているわけではなくて
ベストポジションから見ると、スピーカー位置も最適な位置になっているのですね。

※参考ソース:
Recommendation ITU-R BS.775-2 Multichannel stereophonic sound system with and without accompanying picture
ドルビーデジタルチェックディスク エンコード デコード テクニック&プロフェッショナル サラウンド モニタリング アジャストメント

サラウンドスピーカーの配置(5.1ch の場合)

フロントスピーカー(L、R)の配置、センタースピーカーの配置 についてまとめてきましたが、サラウンドスピーカー(Ls、Rs)の配置に関して、ITU (International Telecommunication Union) が推奨している
BS. 775-2 の配置方法をベースにまとめて行きたいと思います。

さて、ITU 推奨の配置では、サラウンドスピーカーは、センターから見て、100~120 度の開き角になるように設置します。
この配置は、視聴者のややうしろに、思い切り左右パンした配置なので、後方ステレオ感を強く体感できる配置方法です。  

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Cubase で外部音源の録音ができないとき

CubaseでMidi音源などの外部音源の録音ができないときは下記をチェックします。

音源(例:Roland JV)側の出力(PHONES out)から、オーディオインターフェース(例:UA101)の裏側、INPUT(例:3=LEFT、4=RIGHT)にケーブルが刺さっていることを確認。
オーディオインターフェース側の PHONES からは音が聞こえていることを確認。
Cubase 側の、デバイス/デバイス設定、「VSTオーディオシステム」ASIO DirectX Full Duplex Driver の設定で、「イン」に該当ポート(例:3-4(UA-101))が正しく登録されていることを確認。
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Vienna Instruments 初期設定

デバイス / VSTインストゥルメント で Vienna Instruments を読み込む。
Vienna Instruments 起動。
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右の PRESET タブ、Violins appassionata から VI-20 VSL Presetを選択して第一バイオリンを読み込む。
わかりやすいように、とりあえずVSTのプリセットの保存で「Vln」として保存。
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2ch Mix を5.1ch Mix にする

2ch で Mix していたものを 5.1ch にする方法を紹介する。
ここでは台詞と効果音の入った Cubase のプロジェクトで 5.1ch 化する。

マルチチャンネルの環境では、台詞は基本的にセンターに定位させる。
台詞がセンタースピーカーから聞こえるようにすることで、台詞が聞き取りやすくなるからだ。

よく台詞の音声位置がカットによってまちまちなインディペンデント作品があるが、
これでは聞きにくいし、何も考えずに Mix したんだなーという印象を与える。

さて、Cubaseのプロジェクトで、デバイス(Devices)/VSTコネクション(VST Connectios) で入出力バスに5.1chをそれぞれ追加する。

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FXチャンネルトラックを追加
ここでは、台詞用にFX_Voice, 効果音用にFX_SFX, 環境音用にFX_Ambientと三つのFXトラックを用意する
インサートエフェクトとしてSurroundPanを指定

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FX チャンネルトラックの出力先を5.1Outに設定

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台詞のトラックの出力先をFX_Voiceに
効果音のトラックの出力先をFX_SFXに
環境音のトラックの出力先をFX_Ambientに
それぞれ設定する

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各FX チャンネルのSurroundPanで位置を指定する。
台詞であれば基本的にはセンターに定位。

SurroundPanner で位置を指定する。
Mo./St.をMono Mixにし、位置がセンターに来るように設定。

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環境音であればサラウンドに。

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効果音は必要に応じてパンニングを設定する。

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効果音に動きがある場合は、
Surround Pan X Pos. Right
Surround Pan Y Pos. Right
の値をタイムライン上に設定する。

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再生しながら、音声位置の動きを、Surround Panner で確認する。

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できあがったら5.1chの Wave ファイルで出力

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2chオーディオをそのまま配置する場合は、台詞トラックであれば、センターから出力させるようにする

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